会長 佐々木 淳
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かつて富良野のまつりに「女みこし」があった。肝煎りが仕立てたみこしである。それが長い間、神社の倉に眠って陽の目をみていない。
ある日、肝煎りの孫が「女みこしを復活したいのだが...」とつぶやく。小さかった頃の思い出の中に、女みこしの眩しさが残っていた。仲間は「おう!」とうなずく。 「ねらいは北海へそ祭りだ。北真神社(へそ神社)のみこしにするのだ。祭りが活気づく」 「若いおなごが担ぐみこしだ」 「そうだ。威勢の良いのを集める」 「そして、粋なみこしだ。揃いのハッピに向こうハチマキがいい」 「オウ!」 「セイヤ、サー!セイヤ、サー!」 真赤に燃える夕日をあびて「へそみこし」は進んだ。沿道をうずめる見物人に、おなご達は興奮した。おとこ達はうれしかった。 そして、みこしは美しかった。 |