「社長!オフィスフラノで働かせてもらえないでしょうか」。”奥ちゃん”から突然電話がかかってきた。「北の国から」が大好きで、富良野が好きになった人で、知り合ってからもう二十年になる。大阪で看護婦をしながらアロマテラピストや色彩心理インストラクターの資格を取り、前向きに人生を送っている。 「自分の可能性を富良野で試してみたいんです」。このところ「自分が後ろ向きになってきたかな」なんて感じていた私には、ちょっとまぶしい言葉だった。だが、新しいことに挑戦したい気持ちももちろんあった。 これは神の思し召しだと勝手に決め、奥ちゃんが来てくれるなら、富良野グッズや雑貨を扱っている店の一部でレストランをやろう!と勝手に盛り上がった。 「私、料理なんて作ったことありません。アロマテラピーなら…」と尻込みする奥ちゃんに、人間はその気になれば何だって出来る、オレだって皿洗いぐらいはやるよ、と説得した。プロに助言を受けながら、奥ちゃん、私、妻が厨房を担当してスタートした。今はシェフが来てくれているが、この七、八月、私は毎日毎日皿を洗い続けた。 奥ちゃんは注射器をフライパンに持ち替えて、今日も頑張っている。奥ちゃん、落ち着いたら、アロマテラピーもやろうね。
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