『あづましい』 ー心温まるルーツ
方言レクチャー  シリーズ第3弾!

「あづましい」という方言があります。
意味は「具合が良い」「すごく落ち着く」「居心地がいい」「快適」と言ったところでしょうか。

漢字で書くと「吾妻しい」
「我が妻がそばにいるような居心地のよさ、安心感」が語源なのだそう。
いやあなかなか素敵なルーツの方言じゃありませんか。

どんな時使うかというと、たとえば旅先で泊まった旅館の部屋の手入れが行き届いていて、「う〜ん気持ちが良いなあ」なんてときに「いやあ、この旅館なかなかあづましいんでないかい」なんていうんですね。

あぐらの苦手な小生は、近頃流行の「掘り炬燵形式」の居酒屋がとても「あづましい」と感じます。
「遊ぶなら都会だけど、暮らすなら北海道の方があづましいんでないべか」なんて使い方もあります。

反対に「なぜかしっくりこない」「どうも落ち着かない」という場合には、否定形の「あづましくない」を使います。
「いやあ、この店、ラーメン屋さんにしてはきれいすぎて、逆になんかあづましくないんだわ」なんて言います。
「違和感」や「不快感」「不具合」を意味する言葉なのですが、同じ「違和感・不快感」を示す北海道弁「いづい」が、「目にゴミが入っていづい(異物感がある・痛痒い)」というように、「身体面での部分的違和感・不快感」を表現するの対して、「あづましくない」は「その場の状況・雰囲気といった、より広い範囲での不快感」を表現するときに使用するわけです。
日常的には、「あづましい」という肯定形より、「あづましくない」と否定形で使われることが多い感じがします。

旅館に泊まって眠りにつこうとしたら、枕の具合(高さや固さ)がいつもとどこか違う。
微妙な違いではあるのだけれど、そう言う時ってそのちょっとの違いが、どうにも許せないほど気になるじゃないですか。
で、そう思い始めると、もう一晩中気になってしょうがなくなるわけで、明け方まで布団の中でのたうち回る羽目とあいなる。
このなんともはや落ち着かない感じ、やり場のない不快感こそがまさに道産子が言うところの「あづましくない」状態なんです。

整理すると、「自分の価値観や感性、ライフスタイルのちょっとしたずれから生ずる、えもいわれぬ違和感・不快感・居心地の悪さ」ということになるわけですが、果たして道産子じゃないみなさんにこの感じ、感覚的に理解できますでしょうか。

え〜、さて、この方言、語源は「我が妻がそばにいるような居心地のよさ」にあると書きましたが、これって時代感覚的にどうなんでしょう?

「俺は『吾妻しい』方がむしろ『あづましくない』ぞ〜!」

なんて、この際声を大にして主張したい御仁が、世の中にはごまんと存在するのではないかと拝察するのでありますが。
いや、あの、我が家ではけっしてそんなことないんですけど・・・・←と、わざわざ弁解するところがとっても怪しい。

 

新シリーズ よく使う北海道弁詳説
−北海道弁をより深く知りたい方のために−

@うるかす
Aあづましい
B書かさる
Cゴミを投げる
Dげっぱ
Eこわい
F手袋をはく
Gはんかくさい
Hばくる
Iいいふりこきのがんべたかり
Jおだつ
Kがおる
Lおばんでした
Mいづ(ず)い
Nしばれる
O(へ)なまずるい
Pなんもなんも
Qなまら
Rあずる

伏田良のお笑い北海道方言辞典

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