『はんかくさい』ー愛すべき愚かさ
方言レクチャー  シリーズ第8弾!

気がつけば方言シリーズも早第8弾。

シリーズを開始するにあたって「言葉は文化です。方言を語ることは地域文化を語ることでもあるのです」と、我ながら偉そうなことを申しておりましたが、ふり返ってみて、いやまさにその通りなんですね(って本人が感心してどうする)。
方言が生まれた背景や言葉が持つ微妙なニュアンスを分析・解説していると、実に沢山のことに気づくんです。

「うるかす」では道産子の言葉の省略力に驚き、「あずましい」では道産子夫婦のあるべき理想像を学ぶ。
「〜さる、〜らさる」 では道産子の他力本願力に呆れかえり、「ゴミを投げる」では道産子のアバウト気質が浮き彫りになる。

方言には、その地域特有の「文化や気質」といったものが如実に反映されているのでありますね。

実は作者も、このシリーズで北海道弁のレクチャーをしつつ、自らもその地域性や人間性について再発見&お勉強させていただいているという次第。
いやあ、しかしホントお勉強になるなあ、このシリーズは(だから自分で言うのはやめなさいって)。

なにやら「自画自賛力ここに極まれり」といった風情でありますが、実際そうなんだからしょうがない(まだ言うか)

はい、というわけで、周囲の批判顧みず、ひたすらおだちまくりのりょう小天狗が今回取り上げまする方言は。

じゃーん!「はんかくさい」
であります。

「また、そんな事やって〜!何回言ったらわかるのさ〜!っとにもう、はんかくさいんでないの〜?」

子供の頃、小生などはよくこうして親から罵声を浴びたものであります。

「またスピード違反で捕まった?お前ホントはんかくさいもなあ」 なんて言ったりします。

標準語だと「馬鹿、アホ、間抜け」 。
実に身も蓋もない言葉でありますが、関西弁で言うところの「アホか」とか 「アホちゃう?」と似たようなニュアンス。関東弁だと「バッカじゃないの?」ということになりますが、どちらかというと関西弁に近い感じですかね。
異なる点は、親が子供を叱るときに多用する言葉で、大人同士の会話にはあまり登場しないところでしょうか(上記のようなごく親しい間柄の場合を除いて)。

語源は「生半可」 「半可通」で、「中途半端」「不十分」ということ。

一見頭ごなしに罵倒されているかに響く、きつ〜いお言葉のような感じがしますが、尻に「くさい」が付いているわけですから、必ずしも「馬鹿」「アホ」と言い切っているわけではないんですね。
「くさい」を付ける方言としては「Hくさい」 というのもありますが、これも「H」と言い切るのではなく、あくまで「くさい」。
「くさい」 は「らしい」「のようだ」という推測を意味する言葉ですので、「はんかくさい」も「Hくさい」も「そのように見えるかも」というやんわりした表現なんです。

「このばかもの!」とか「たわけもの!」と逃げ場がないほどに罵倒するのではなく、 「ちょっとお間抜けに見えますよ」 「ホントにもうお馬鹿さんなんだから」とオブラートに包み込んで言う感じ。

「まったく、しょうがない奴だなあ。ホントお馬鹿さんなんだから」

これが「はんかくさい」という言葉の本来の意味というかニュアンスなんですね。

「はんかくさい」 はごく近しい(親しい)人間が、愛すべき「ばかもの」に向かって放つ、慈愛に満ちたお叱りの言葉なのでありました。

*あまり親しくない大人同士の会話に使うと、シャレにならないときがあります。
親子かごくごく親しい間柄でのみ使用することをおすすめします。

新シリーズ よく使う北海道弁詳説
−北海道弁をより深く知りたい方のために−

@うるかす
Aあずましい
B書かさる
Cゴミを投げる
Dげっぱ
Eこわい
F手袋をはく
Gはんかくさい
Hばくる
Iいいふりこきのがんべたかり
Jおだつ
Kがおる
Lおばんでした
Mいづ(ず)い
Nしばれる
O(へ)なまずるい
Pなんもなんも
Qなまら
Rあずる

伏田良のお笑い北海道方言辞典

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