『いずい』ーそうとしか言いようのない道産子固有の感覚的表現
方言レクチャー  シリーズ第14弾!

「めっぱができたのかなあ。昨日からなんかいずいんだよね」

「めっぱ」と「いずい」、どちらも道産子がよく使う方言であります。
「めっぱ」 とは「ものもらい」のことでありますが、あれが出来た時って目が痛いような痒いような、そしてからにまぶたの裏側がなんかゴロゴロしているような独特の不快感に襲われるでしょう。
あの、えも言われぬ異物感・違和感こそが「いずい」 の意味するところなんです。
したがって冒頭の文章を標準語に直すと
「ものもらいができたのかなあ。昨日から目の奥がゴロゴロしてなんか痛痒いんだよね」 ということになります。
「いずい」と書きましたが、漢字では「居辛い」 と書くそうなので、ひょっとすると「いづい」と表記するのが妥当なのかもしれません。

で、この「いずい」、意外と使用範囲が広く、「痛痒い」の他にも「塩梅が悪い」 「具合が悪い」「しっくりこない」「おさまりが悪い」と言ったときにも使用可能なんですね。
「居辛い」 が語源ということなので「身の置き場のない状態」 すべてに応用可能というわけです。
たとえば。
「セーターがちくちくしていずい」
「パンツのゴムがきつすぎていずい」
「あいつと一緒にいるといずい」
「なんかこう上手く言えなくていずい」
「入れ歯の具合が調子悪くていずい」 ←私のことではありません。念のため。
等々。

なんかこう違和感があって「ムズムズ」 する感じ、みなさんにも経験あるでしょう?あれですよ、あの感じ。
といっても、個々人感じ方が違いますからねえ。
道産子にとっては「いずい」 としか表現のしようがない不快感・違和感なので、これ以上表現しようがないんです。
ああ、いずい。

「いずい」に近い意味を持つ北海道の方言に「あずましくない」 というのがありますが、「いずい」が身体面での部分的違和感・不快感を表現することが多いの対して、「あずましくない」はその場の状況・雰囲気といった、より広い範囲での不快感を表現する場合に使われることが多いんです。
どちらも不快感を表す言葉なのですが、意味は微妙に異なるんですね。
このいかにもローカル色豊かな二つの言葉を、首尾良く使いこなせるようになれば、北海道弁使いとしてはかなりの上級の腕前。

さあ、あなたもさっそく明日から使ってみてはいかがですか?

*「いづい」と表記しようかとも思いましたが、なんだか「いずい」のでやめました。

新シリーズ よく使う北海道弁詳説
−北海道弁をより深く知りたい方のために−

@うるかす
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