| 『ゆるくない』
ー道産子の我慢強さ、忍耐強さ
方言レクチャー シリーズ第20弾!
「今日も朝から畑仕事かい。いやあ、農家もゆるくないねえ」
ゆる(緩)くない=きつい=大変だ、つらい、しんどい
という意味の方言ですね。
道産子はどんなにつらい作業でも、「きついねえ」 とは言わず「ゆるくないねえ」と婉曲的な表現をします。
「冬の雪かき作業ってけっこうきついんでしょ?」
「あはは。ゆるくないべさ」
「きつい」 「つらい」と言ってしまえば良いところを、「ゆるくない」とわざわざ遠回しに言ってしまうところに、道産子の我慢強さ、忍耐強さをかいま見ることができると思うのですがいかがなものでしょう?
与えられた厳しい境遇に対して、あえて直接的な表現を避け、「なあに大したことはないさ」と自らを励ます。
「きつい」「つらい」 と言ってしまうと、その言葉の重さにいっそう気分が落ち込んでしまいそうなところを、「ゆるくない」と曖昧な表現をすることで、「なあにまだ余裕があるんだよ」と自らを鼓舞しようとするわけです。
「きつい」 の反意語は「ゆるい」ですが、「ゆるくない」は「きつい」と同意語ではありません。
「きつい」 といえば「限界に近い」という意味合いが濃くなってしまいますが、「ゆるくない」と表現した場合には「まだ少し余裕があるぞ」というニュアンスになるのですね。
いやあ、なんたるこの我慢強さ、そしてなんたるこのけなげさ。
すてきだなあ。美しいなあ。
道産子気質を語るに欠かせない方言のひとつだと作者は思うのでありますが。
注:ところで、男女間で交わされる
「ゆるくない?」
「ゆるい!」
という会話 は、この場合ほとんど別の意味でありますので、深く詮索なさりませぬよう(R指定)
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