糖尿病性腎症

●腎臓は、身体の中でいらなくなった老廃物を含む血液を濾過して、老廃物を尿として体外に排出するとともに、きれいになった血液を体内に戻すという極めて重要な働きをしています。この血液を濾過する役割をしていのが、腎臓の糸球体と呼ばれる場所です。この糸球体は毛細血管の塊でできており、高血糖が長期間続きますと、網膜と同じく血管障害や膜に変化が起きてきて濾過機構が破綻してしまいます。この状態が糖尿病性腎症といわれるものです。
糸球体が担っている濾過機能は、正常の状態においては身体に必要なタンパク質などが外に漏れでないように調節されています。しかし腎症に陥った状況下では、大事なタンパク質などが尿として身体の外に漏れ出てしまうのです。これが蛋白尿で、蛋白尿が多量になりますと血液中の蛋白濃度が下がり、むくみ(浮腫)や血圧上昇などを招き、老廃物の排出低下も相俟って腎不全や尿毒症に移行してしまうのです。
最近の報告を見ますと、糖尿病性腎症から慢性腎不全に移行し、透析が必要となる患者さんの数が急増しています。我が国の慢性透析療法の現況(日本透析医学会)を下図に示します。糖尿病性腎症で透析を新たに開始される患者さんが、’90年で年間4326人、これが2000年では年間11,685人で、この10年間でおよそ2.7倍に増加しています。以前までは慢性糸球体腎炎からの透析移行が最も多い原因でした。しかし、’98年以降では、糖尿病性腎症が1位となっております。したがって、現在では糖尿病性腎症由来の透析導入をいかに減少させるかが、重要な問題となっているのです



●糖尿病腎症の病期とその対策
腎臓は、眼底検査で把握することができる網膜症とは異なり、身体の外から直接異常がないかどうかを判断をすることが困難です。従ってよほど重症にならないと症状は出現してきません。高血糖が続くと、腎臓にはごく初期段階で、微量のアルブミンという蛋白(尿中微量アルブミン)が出現します。この時期が腎症の早期の段階ですので、この時点で血糖コントロールを厳格にすることが、悪化をくい止めるための最良の手段となります。それでもなお血糖コントロールの不良状態が続きますと悪化の一途を辿るわけです。

糖尿病性腎症病期分類
病期
尿蛋白
(アルブミン)
対策
第1期
(腎症前期)
正常
血糖コントロール
第2期
(早期腎症)
微量アルブミン尿
厳格な血糖コントロール
降圧療法
第3期A
(顕性腎症前期)
持続性蛋白尿
厳格な血糖コントロール
降圧療法・蛋白制限食
第3期B
(顕性腎症後期)
持続性蛋白尿
降圧療法・低蛋白食
第4期
(腎不全期)
持続性蛋白尿
降圧療法・低蛋白食
透析療法導入
第5期
(透析療法期)
透析療法中
透析療法・腎移植






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