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今年の冬(1997-1998年)は、例年になく関東地方にも雪が多いようだ。北海道に住む者にとっては何のこともないのだが、朝になって積雪でもあろうものなら、首都圏では交通を主体に大混乱である。テレビのニュースでは、交差点にカメラを据え、車のスリップや立ち往生、通行人のスッテンコロリンを毎度のように中継している。終いには中継アナウンサーが、雪国の人?のインタビューも交えて、雪道の正しい歩き方などを講釈している。「革靴を履かず、両手はフリーにして、靴底を雪道に対して真っ直ぐおろし...」等々である。北海道でも路面が凍り始める初冬では、結構多くの人が転んでいるし、正しい歩き方などいきなり聞かれても、即答はできないだろう。長年の経験と勘であろうと思うのだが...何事も経験が少ないと、いきなり雪道に遭遇しても無理なのではないかと思う。かく言う私も、10年程前、冬の夜道で転倒し、肋骨骨折の既往がある。肋骨骨折は さておき雪道で転倒した場合問題となるのは、頭をゴンと打ったときの頭部外傷である。 頭蓋骨と脳を覆う硬膜の間の動脈が破綻することによって起こる急性硬膜外血腫の場合に、この清明期が見られることがある。通常、頭部外傷の際の脳振盪(のうしんとう)のために、先ずごく短時間の意識消失が見られる。次いで覚醒し普段通りに会話ができるようになる。しかし数時間の後に再度頭蓋骨と脳膜の間に起こった動脈性出血が拡がると、脳が圧迫され意識の混濁が起こってくる。この意識の比較的清明な数時間(1〜12時間)をルシッド・インターバルと言い、この時期に適切な外科的処置がなされないと不幸な結果を招くことになる。当直の夜に頭をゴツンと打った患者さんが来院し、見たところ正常のため、「軽い脳震盪ですね」と言って帰宅させると大変なことになる場合もあるということである。大概は側頭骨の骨折を伴っているので、見逃すことも少ないと思うが...何せ新米医者である。何かあったら直ぐ来院するように..と指示するも、ちょっと気になると眠れぬ一夜を明かすのである。 アメリカンフットボールNFLの第32回スーパーボールでMVPとなったブロンコスのRBテレル・デービスは、第2Qに脳振盪で一時ベンチに退き、その後フィールドから去っていく後ろ姿が映し出された。しかし第3Qにはフィールドに戻り、その後2つのタッチダウンで大活躍をしている。アメリカのフットボールスタジアムには、立派な医療施設を併設していると聞いたことがある。きっとハーフタイムにCTなどの検査を受け、骨折の有無・出血の有無を検査し、ルシッド・インターバルでないことを確認したのではないか?...と勝手に想像した。 ここからも推定の話である。 征夷大将軍の源頼朝は1199年1月13日に52歳で死亡している。冬だからといって雪道で転んだ訳ではない。何かの式典で出かけた際落馬し、その後病に罹り死亡したとなっている。落馬後しばらく意識が明瞭だったため、暗殺説もあるようだが、ルシッド・インターバル後、脳ヘルニアで(すなわち急性硬膜外血腫で)死に至ったのが真相であると何かの本で読んだことがある...が、記憶は定かでない。 上記2点に関し、ご存知の方は御教示頂きたい。 |