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富良野駅を出て左に向かい、交差点を渡ったセブンイレブンの前で、ちょいと右側を向くと本屋さんの横に看板が見える。その看板を見上げながら階段を昇ると、ウッディカフェ「傷つく森の緑」(通称きずもり)に辿り着く。ドアを開けると、心地よいブルースの香りが身体全体を包み込んでくれる。そう、この店のマスターは、クラプトン一途で、ブルースのことなら誰にも負けないと自負する富良野のブルーズマンである。店の名前から、ある種のことを想像でもしたら、いつもグリーンを傷つけている下手くそゴルファーの私などは、近寄れない場所でもあるが、そんなことには関係なく、カウンターでバーボンのグラスを傾けることができる。因みに最初の頃、一度名前の由来を尋ねたこともあるが、「そんなことはどうでもいいでしょう!」の一言で済んでしまった。 慢性中毒の治療は、基本的に(1)禁断症状を乗り越え、薬物の解毒をはかり、(2)社会的なリハビリティション行い、その後家族、職場、友人などの協力も得て、新たな薬物入手や摂取を避けるための充分な(3)アフターケアを行うことである。勿論、書くと行うとでは大違いで、容易なことではなく、敢えて付け加えるまでもない。因みにこの治療の過程で、耐性を獲得した薬剤と構造や薬理作用の類似した(交差耐性のある)薬剤を使用し、禁断症状を回避しながら薬を漸減する場合もある。しかし、たとえ禁断症状をみても、これら交差耐性のある薬剤を使用せず、速やかに薬剤離脱を試みることもあり、この際見られる皮膚の冷汗や立毛の状態からcold turkeyと呼ばれている。奇しくも、クラプトンが麻薬中毒期に入る前の年、私が敬愛するジョン・レノンは、自分がcold turkeyになることにも厭わずヘロインを断ち切り、その経験を踏まえ麻薬への警告ということも含め、コールド・ターキー(冷たい七面鳥)をレコーディングしている。張りつめたジョンのボーカルとともに、リズムギターをカットしたクラプトンのリードギターには、今聴いても何か運命的なものさえ感じられる。 「きずもり」に行った時の注意を一つ。決してクラプトンの悪口を言わないように!、決してブルースの何たるかを講釈しないように!・・・・・マスターが、cold turkeyのようになって、店から追い出すこと受け合いである。 追伸(1998年11月の新聞報道):エリック・クラプトンが、南海の孤島に650万ドル(7億8千万)をかけて麻薬・アルコール中毒患者の更正病院を建設。大西洋上アンチル列島の小国アンチグア・バブーダの「クロスロード・センター・オブ・アンチグア病院」(ベッド数36)で、治療費が支払えない人でも治療が受けられるとのこと・・・・・これからも、クラプトンはその音楽に止まらず、麻薬・アルコール中毒患者への更正にも精力を注ぎ続けるのだろう。
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