高脂血症Q&A集


25歳の男性から
総コレステロール値が124、中性脂肪が41です。大学入学時より低コレステロールといわれていますが、好き嫌いもなく、食欲もあり、どちらかといえば大食のほうです。熱が出やすく、年中風邪を引いているような感じです。在学中もよくひどい頭痛にみまわれ、救急車のお世話になったことも数回あります。そのたびに精密検査を受けるのですが異常なしと言われます。それ以外にはいたって健康そのものに見えます。本人もいつ急に体調が崩れるかわからないことで常に不安を感じています。心当たりと言えばコレステロール値が低いことくらいなので関係があるのでしょうか?


低脂血症について
一般に、総コレステロール130mg/dl未満、中性脂肪(トリグリセライド)40mg/dl未満、LDLコレステロール80mg/dl未満を低脂血症の基準としています。
低脂血症の大部分は栄養状態の悪化や甲状腺疾患、肝疾患による二次性の低脂血症がほとんどです。ごく一部には基礎疾患のない原発性の低脂血症(コレステロールは血液中で水溶性になるため、ある種の蛋白と結合しており、これらの蛋白の欠乏が遺伝的にある場合など)も含まれますが、総コレステロール100未満位にならないと精査治療は不要かと思います。
問題となる場合は、第一に甲状腺機能亢進症です。甲状腺ホルモンが増えている場合、代謝が亢進し脂肪の代謝が促進され、コレステロールが下がってきます。この場合、他に自律神経の緊張症状(動悸、発汗、手のふるえ、倦怠感など)とともに体重減少が出てきます。チェックを受けているはずですが、思い当たる症状があって、検査していないようでしたら、一度検査を勧めます。
後は肝疾患、吸収不良症候群(栄養失調)等で、脂肪自体が吸収および産生されていない状況ですが、ちょいと考えずらい状況です。
付け加えますと、低脂血症を示す男性で、高血圧を合併している場合に脳出血の危険性が増すというデータもありますが、この状況においても血圧管理が主体で脂肪の正常化を図ることもありません。低脂血症自体が治療の対象になることは、あまりないということを念頭に置く必要があります。
以上のようなことから、最低限甲状腺のチェックくらいで、様子を見てもかまわないかと思います。


29歳の男性から
先日、健康診断で血液検査をしたところ、HDLコレステロールが103mg/dlとのことで、要経過観察となってました。よくわからないのですが、インターネットによると、HDLコレステロールとは善玉コレステロールらしいのですが・・・多いとどういう問題がありますか?


高HDL血症について
HDLコレステロールは、末梢組織に過剰に蓄積した過剰なコレステロールを取り去り肝臓に運び、処理する働きを持っており、このため善玉コレステロールと呼ばれています。したがって、HDLコレステロールが高い場合(高HDL血症)、動脈硬化抑制作用が強く、長寿に繋がると言うことで、従来「長寿症候群」として考えられていました。しかし最近の研究では、必ずしもそうでもない場合があることが分かり、さらにわが国の特殊性もクローズアップされてきました。 
通常、高HDL血症という場合は、100mg/dl以上を指し、わが国でも1000人に1人位は存在すると言われています。 今までは、アルコールの多飲や種々の薬剤投与(ステロイドホルモン、インスリン、HMG−CoA還元酵素阻害剤)、原発性胆汁性肝硬変症に続発したり、運動などでHDLコレステロールが上昇する事が知られていました。しかし最近の研究で、遺伝的にある種の酵素蛋白(CETP)が欠損して生ずるCETP欠損症という状態が特にわが国で多く見られ、HDLコレステロールの上昇の原因の一つとして注目されています。問題はこのCETP欠損症の場合、冠動脈疾患保有率が高いという報告も見られており、今後この状態に動脈硬化を伴いやすいことが明らかになる可能性があるからです。
ただ現在のところ、CETPの検査手段が確立しているわけではなく、疫学調査も不十分であり?、高HDL血症のはっきりとした治療方針(ガイドライン)もありません。したがって、私は、従来通りのLDLコレステロール値を基準として治療し、高HDL血症単独の場合は、定期的な動脈硬化性疾患のチェックで経過を見ても良いのではと思っています。
ご質問の方の場合、総コレステロール値、LDLコレステロール値も正常で、軽度の高HDL血症と判断されますので、年1〜2回の定期検診で充分かと思います。



    


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