2003年3月13日 アウトドア
「あれが、カバのアナタケですよ。ガンに効くと言われている大変貴重なものです」
「これは、凍裂。厳しい寒さのために、木の中の水分が凍り、大きな音とともに生木が裂けるのです」「あの上に見えるのが、くまげらの巣です」、次々と興味深い話が続いている。
スノーシュー(西洋版かんじき)を履いて、ネイチャーガイドの話を聞きながら、雪深い森を歩く、「スノーシューハイク」に、ビデオ撮影のために参加した。
目的は、南富良野の素晴らしさを映像で紹介するCD-ROM、DVDなどの制作だ。2月には、バックカントリースキー、犬ぞり、わかさぎ釣りなども撮った。
カメラマンは那須野さん、私はカッコつけて言えばディレクター、実体はビデオカメラの「三脚持ち!」。最少人数の撮影隊だ。那須野さんは素早く撮影ポイントを見つけ、どんどん雪を掻き分けて行く。私は三脚を抱え、その後を追う。
寒くて、重くて、辛い仕事だけれど、とにかく面白い。いつも身近に感じている自然なのに、その真っ只中で色々なこと体験すると、まったく違う世界が広がる。
終わってから、煎じてくれたアナタケ茶も美味しかったし、もしかしたら、アウトドアにハマってしまうかもしれない。
2003年5月22日 まだまだパワー
私の父は今年80歳になる。いまだ現役である。元々は建具屋としてドアやマドを作っていたのだが、今は私の会社で販売している商品である写真額や木箱などを主に作っている。
10年位前に、父さんの「最後」の大きな仕事だねと、我が家の建具を全部作ってもらったのに、その後も店舗のドアやテープル、イス、戸棚など、ずっと作り続けている。
「昔の人」は凄い!エライ!80歳になっても、まだお役に立つのだ。ひるがえって、私はどうだろうか?80歳はおろかもう何年もしないうちに、役立たずになって、お役ご免になってしまいそうだ。いや、今だって怪しい。
私は今、昔の人の力を結集する「まだまだパワー」という名の組織を作りたいと、ひそかに思っている。私の父のような人や、手作り味噌や醤油、ニシン漬けなど昔ながらの料理を知っている人たちが活躍できる場だ。具体的なことはまだ何も決まっていないが、これからの「まちづくり」は高齢者とのネットワークが大切だと思っている。役立たずの私が、少しでもお役に立てればと、ちょっと考えている。
2003年7月17日 人なれしたキタキツネ
鮮やかな緑の中、キラキラ輝くかなやま湖を右手に眺め車を走らせている。仕事で向かっているのに、気持ちは完全にリゾート気分。田舎で暮らす人間の特権だ! 心を癒してくれる自然がそこかしこにある。
都会からここ南富良野町に移住した人を何人か知っているが、住みたくなる気持ちがよく分かる。本当にきれいだ。
今度来るときは、ゆっくり湖を楽しもうなんて考えていると、突然、道路のど真ん中、センターラインの上に置物のように座っているキツネが目に飛び込んできた。
あわててクラクションを鳴らしたが、逃げる気配がない。それどころかこちらに近づいてくる感じなのだ。減速し、キツネを避けて通り過ぎたが、うらめしそうな顔でこちらを見ている。
ちょっと走ったら、今度は親子のキツネが寄ってくる。危なくてスピードは出せない。どうなっているのだろう。理由が分かった。何台かの車が、近寄ってきたキツネにえさをやっているのだ。
おそらく動物好きの人たちがえさをやっているのだろうが、キツネは車にひかれる危険にさらされる。それだけではない。野生のキツネが安易にえさを得ることで、色々な弊害も出るはずだ。リゾート気分はどこかにいってしまった。