2006年1月30日 娘へのメール
「今日、テレビを見ていたら、見覚えのある顔が…。よく見たら、私の同級生でした!!」と娘からちょっと興奮気味のメールが来た。札幌の高校を出て、今は東京の大学の二年生。どうやら、高校時代の同級生が大学に在籍しながらテレビのキャスター的な仕事をしているらしいが、最後の一行が気になった。
「同い年のあたし…。なにしてんだろ…」
それで、こんなメールを返信した。
「テレビのキャスターに限らず、若くしてテレビで活躍している人と自分を比較するのは良くないと思います。大切なのは、今、自分がやらなければならないことを精いっぱいやり続けることだと思います」
親バカと言われるだろうが、私から見て、娘は慣れない東京での生活にしても、勉強も、アルバイトも、結構頑張っていて、えらいなと思う。いつもなら冗談交じりのメールを返すのだが、たまには父親らしいことを言いたくなった。
「人間って、人生って、幸せって、生きることって何だろうと、絶えず問いかけてください。そうでないと、自分を見失ってしまいます。幸せも不幸も成功も失敗も自分の考え方、気持ちの持ちようです。自分を信じて頑張ってください!」
このメールが娘にとって激励になったかどうかは分からない。が、人生には遠回りをして得るものもあるのだということを、どこかで感じてくれればいいなと思う。
2006年3月23日 国際化の中で
この冬は、「ああ、富良野も国際化したなあ」と思わずつぶやいてしまうほど、街中で多くの外国人を見かける。ここ何年か、スキーやスノーボードを滑るためにオーストラリアから冬に富良野に来るツアー客が増えているというのは知っていたが、こんなに来ているのかと実感したのは初めてのことだった。
ところが、せっかくはるばる遠くの国から来ていただいているというのに、富良野には英語が話せる人が少なくて、地元の人たちとあまりよくコミュニケーションが取れていないらしい。
かく言う私も英語は全然ダメなのだが、この三月からたまたま、英語のできる甥(おい)の信ちゃんと一緒に仕事をすることになった。信ちゃんは、十二歳で両親とアメリカへ渡り、大学を卒業するまでアメリカで過ごした。今後の仕事について話し合っているうちに、国際化の流れに沿ったことが何かできないだろうかという話になった。
私はいろいろと観光関連の仕事もしているが、忙しい夏場に比べ、冬には少し余裕ができる。オーストラリアの人が富良野に来るのは冬だから、「信ちゃんの英語力を生かして何かやろうよ!」と盛り上がった。
例えば、私の事務所がある建物の中で英語圏のお客さん向けのレストランをできないだろうか。二階のスペースをサロン風に開放して外国人が英語で情報交換できるようにすればいい。どうせなら英語のガイドブックも作ろうと、構想はどんどん膨らむ。国際化の流れが自分たちのマチまで来ているのだから、それを好機と受け止め、私自身も何か地域に貢献できればいいなと思っている。
2006年6月26日 越冬野菜
ここ何年か、農作物のことをいろいろと考えている。富良野は農作物の宝庫だ。ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、アスパラ、メロン、スイカなどなど、挙げれば切りがないほど、あらゆるものがある。私は直接、農業に携わってはいないが、富良野の特色を出して、豊富な農作物を利用した仕事をしたいと思っている。そのひとつは、レストランで料理を提供すること。そして、もうひとつは、農作物を加工して商品化することだ。
そういう思いで、今年から富良野や北海道の野菜をたっぷり使ったスープカレーを作り、市内の麓郷の森で出し始めた。一番の特徴はスープカレーに手作りのロールキャベツが入っていること。キャベツは三月に和寒町から送ってもらった越冬キャベツを使い、上富良野産の豚のひき肉で作った具を包んでいる。
話はそれるが、私は、「越冬」という言葉の響きが好きだ。いかにも冬の寒さにじっと耐えたという感じがして、北海道のイメージにぴったりくる。だから、欲張りと言われるかもしれないが、旬の野菜に加えて、越冬野菜にもこだわり、使い道を考えていきたい。
越冬ジャガイモは越冬野菜の代表的な作物だ。今年は何とかして、自分の手でおいしいジャガイモを越冬させてみたいと思っている。冬を越すことによって甘味が増すという長所もあるが、何よりの魅力は、収穫期以外の長い時期に、富良野を訪れる道外の人たちに地元産の野菜を味わってもらえることだ。
農家の人たちが心をこめて作った農作物のおいしさを、いろいろな形で少しでも多くの人に伝えられればうれしい。