■ 就活スーツ。byオダジー 2006年11月22日(水)

  今日の富良野は雨です。大きい雷の音も聞こえてきます。今回は、つい先日、北海道新聞の夕刊(旭川地区版)に私が書いたエッセイを転載します。色々書いてるものの、結局「親馬鹿」なんでしょうか。最近はテレビなどで「いじめ」の問題が取り上げられていますが、私の子供たち三人(長女と双子の男の子)はもう大学生なので、直接関係なくなったので気は楽ですが、小・中・高校生の子供がいる親の気持ちは分かります。子供とはいつも真剣に向き合っていたいと心底思っています。

 東京にいる大学三年生の娘と久しぶりに会ったら、「就活(就職活動)に必要なのでリクルートスーツを買ってほしい」と言われた。
 リクルートスーツと通称されるのは、就職活動をする学生が会社訪問や就職試験の時に着る黒やグレーの画一的なスーツのこと。実は、三年前に入学式で着るスーツを選んだ際に娘に「就活にも使えるからリクルートスーツでいいよ」と言われたのだが、私はそれに同意せず、明るめのスーツに決めたのだった。
 私にしてみれば、校則などにしばられている高校生とは違って、大学生はもう大人なんだから、みんなも色とりどりの服を着てくるだろう、ジーンズの人だっているはずだと、そう思い込んでいた。しかし、入学式に出席してみて、あぜんとした。ほとんどの学生は、地味なスーツだった。何人かは少し派手な色だったが、明らかに少数派だった。私は、割り切れない気持ちになった。
 私たちの大学生時代から三十年以上も過ぎて、この間、やれ国際化だ、やれグローバルスタンダードだなどと宣伝され、ことあるごとに個性だ、自立だ、自由だと、それが当たり前のようにはやし立ててきたのに、これは一体何なのか。地味なスーツの学生たちの集団は時代に逆行しているように思え、私には納得がいかなかった。
 就職活動にしたって、なぜ地味なスーツでなければダメなのか。面接官だって、ある程度は個性的な服装の方が人物評価をしやすいだろう。それに、どうせ買うのなら、就職後にも着られる服がいいに決まっているじゃないか。などと言ってはみたものの、「みんなが着るならしょうがないか」と日本人的な横並び思考を捨て切れず、結局、没個性的な黒い就活スーツを買ってしまった。
 娘よ、せめてこのスーツを就活でしっかり生かしてくれよ!

 


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