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今月最初に紹介するCDはマハヴィシュヌ・オーケストラの「内に秘めた炎」 。 マハヴィシュヌ・オーケストラは、ジャズ・フュージョン、ジャズ・ロックの草分け的バンドである。1970年にジョン・マクラフリンを中心に結成され、メンバーはマクラフリン(g)、ビリー・コブハム(ds)、リック・レアード(b)、ヤン・ハマー(key)、ジェリー・グッドマン(vl)。1971年に「内に秘めた炎」でデビュー。マクラフリンはヒンドゥー教の導師シュリ・チンモイに宗教的に師事して「マハヴィシュヌ」という名前を与えられていた。バンド名はここに由来している。 だ、そうだ。調べたのだ。 今までは、ジャケットだけは知っていたが、どんな音楽をやっているのか、まったく知らなかった。1971年と言えば、私がジャズを聞き始めた頃で、リアルタイムで聞けたはずだが、当時は、まずモダンジャズ、まずジョン・コルトレーンだった。それは、それでよかったと思う。もし聞いたとしても、ピンとこなかったと思う。今出会えたからこそ、感動もするし、グッともくる。 ジョン・マクラフリンに対しては、「エレクトリック・ギタリスト」 というレコードを気に入っていて、好印象は持っていた。 1970年の終わりから1980年の初め頃、ギターのレコードをせっせと買った時期があった。「エレクトリック・ギタリスト」もおそらく、その頃の一枚だと思う。アール・クルー、パット・メセニー、 ジョン・アバークロンビー・・・。 「内に秘めた炎」のことだが、何故今頃買ったかと言うと、二、三の理由がある。一つは、昨年の12月9日にふらの広場で行われたコンサートの打ち上げで、ギタリストの宮野弘紀さんからジョン・マクラフリンの話を聞き、なんとなく聞きたくなった。もう一つは調べると「内に秘めた炎」のドラマーがビリー・コブハムだったこと。それと、ジャケットは頻繁に見ていたのに、一度も聞いたことのない音楽への期待。最近はこだわらず、固定概念を捨てて、とにかく何でも聞こう!という精神状態なのだ。 「内に秘めた炎」であるが、思った通りドラムのビリー・コブハムが凄い。もちろん、ジョン・マクラフリンもいい。圧倒的な迫力。「なんか、文句あっか!」と、意味なくケンカ腰になるほど圧倒的。 こういう音楽を聞くと、温和なオダジーも、ちょっと攻撃的になる。エネルギーとか、情念とかの言葉が浮かぶ。音楽ではなく、音楽を通じた人間そのものの表現といったような。ジョン・コルトレーンの激しい演奏にも感じるものだ。 ふと、このようなエレクトリックの大音量の中で吹きまくるジョン・コルトレーンを聞きたかったと思った。マイルス・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」 が1969年で、このアルバムがその後のエレクトリック・ジャズの出発点になるのだが、残念ながらコルトレーンは1967年に亡くなっている。もし生きていれば、賛否両論の中、おそらくコルトレーンもエレクトリックなものを取り込んだと思う。 ちなみに、ジョン・マクラフリンも、ビリー・コブハムも、「ビッチェズ・ブリュー」に参加している。マイルス・デイビスって、ほんとに凄いね。 ついでに、ビリー・コブハムが大好きになったアルバムも紹介します。「フライ・ウィズ・ザ・ウインド」 。 |
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