富良野の四季はどうなっておるのか。

1999/3/17   by 鮒志田 良

日本という国全体が、しだいに季節感というものを失いつつある中で、今なお明確な 四季の彩りと豊かな表情に満ちている可能性の大地北海道。北海道の四季にはそれぞ れ、その季節ならではの彩りと豊かさが内包されているのであります。しからば、富 良野の四季はいったいどのようであるのか。(なんだかいかめしいなー)
不肖鮒志田良が「富良野の四季」をガイダンスさせていただきます。

3月 長く閉ざされた雪の暮らしから徐々に解放されていく感じがなかなかうれしい 季節であります。
この時期、道路は雪解けでべちゃべちゃ。「車はあずるし(立ち往生)、靴はぬかる、車に泥は跳ねられる」という、北国ならではの「雪解け必須アイテム、怒濤の三 連発」の洗礼を浴び、内地の人から見れば「北国のみなさん、本当にお気の毒です」 的生活を強いられるのですが、どっこい地元の人間は「確実に春が近づきつつあるも んね」という期待感で雪解け道の不快感をうっちゃってしまうのであって、「なんも なんも、春先に雪解けは付き物だべさ。あずましくない(快適でない)のもまた富良 野の春らしくて、それはそれでいんでないかい」というまことにおおらかな気分に包 まれるのであります。

4月 雪解けの乾ききった道路を、納屋の奥深く眠っていたちゃりんこをひっぱり だし、鼻歌混じりでまちなかを走らせる気分のよさは、長い冬を堪え忍んだ北国の人 間でなければ味わえない充実感・爽快感なのであります。

5月 内地の桜は4月入学式の時期が見頃ですが、北海道の桜の最盛期は5月ゴール デンウィークの過ぎたあたりであります。
農作業もこのころから始まります。富良野は5月といってもまだ肌寒い日が多く、意 地の悪いことに、ゴールデンウィークあたりの天候はなぜか崩れてぐずぐずというこ とが多いのであります。北海道の5月は内地の4月。しからばゴールデンウィークも 北海道だけは一月ずらして、6月ということにしていただきたいのであります。(っ て、いったい誰にお願いすればいいんだ?)

            【春の定番イベント】

             ■3月 麓郷ラングラウフ(上旬) 
             ■5月  桜祭り(中旬、朝日ヶ丘公園・東大樹木園)

6月 富良野の一番いい季節であります。内地の人が北海道に憧れを抱くのは、食べ 物のうまさと美しい自然でありますが、この時期の、北海道ならではのさわやか?な 気候によるところも大なのであります。
第一、梅雨がないというだけでもナイスではありませんか。
こういっちゃーなんですが、私の経験から言わせていただければ、内地の(とりわけ 東京の)6月?8月は最悪であります。(東京のみなさんごめんなさい) 内地の梅雨の鬱陶しさといったら、これはもう半端ではないのですね。
来る日も来る日も降りしきる雨また雨。ジトーッとカエルの肌のように汗ばむ肉体。 べたつく肌を寄せ合って、人波に揉まれる満員通勤電車に至っては、もう拷問以外の 何物でもありません。(しかし、そこまで言うか)
内地がそのように不快指数120%というさなか、富良野はといえば暑からず寒から ず、空はあくまでも晴れ上がり、からっと乾いたさわやかな風が肌に心地よいとい う、まさにカリフォルニア・ドリーミングな気候なのですから、これはどうしたって 夏は富良野(北海道)に軍配があがってしまうわけで。

7月7月は富良野の観光のピーク。ご存じラベンダー観光であります。
「北の国から」人気と相俟って全国的にメジャーとなったラベンダー観光。今では すっかり北海道旅行の定番ルー トとなってしまいました。わずか3万人足らずのこ の町に、夏の間だけでも毎年100万から120万人もの人が訪れるというのですか ら、エッへん富良野人気もなかなかなのであります。

8月 富良野が誇る人気イベント「北海へそ祭り」が開催されるのもこの頃。 例年7月27日〜29日の3日間開催であります。
短い夏を満喫すべく、富良野がバカバカしくも熱く燃えるこのイベント、「よさこい ソーラン」のようなかっこ良さはまるでありませんが、誰もが飛び入りで参加できる という庶民性・敷居の低さが自慢の祭りであります。
機知と諧謔の精神に富んだフラニストたちがユーモラスにくりひろげる「富良野なら では」のこの祭りは、富良野ファン必見のイベントと言っていいでしょう。

ところで、富良野は盆地性気候のため、真夏の気温は実は意外に高いのであります。 日中30度以上になることもけっして珍しくはありません。ただし、夜温はぐっと低 くなります。ここが内地との決定的な違いなのですね。 内地ですと日中と夜間の温度格差はおそらく5度前後。富良野は10度から15度もあります。
ちょいと窓から夜風をいれれば、クーラーなど入れなくても、寝苦しくて眠れないな どという心配はまずありません。
したがって、日中の暑さもそう苦にならないというわけです。また、暑いと言っても 内地と比べると湿度が低い分、ずっとしのぎやすく、同じ盆地性気候といっても、名 古屋や京都のようにむせかえるような蒸し暑さではありません。 (私はあの暑さは 人間が暮らすための限界を超えていると思っているのです)

            【夏の定番イベント】

             ■6月 始ヶ原市民登山会(6月21日) 
             ■7月 北海イカダ下りin空知川(7月19日)、
                         北海へそ祭り(27・28・29日)
             ■8月 富良野西岳市民登山会(中旬)、ゆうふれ音楽祭(上旬)

9月 収穫の秋。春先から農家のみなさんが精魂込めて育て上げてきた農作物が、 実りの秋を迎えます。富良野は北海道でも有数の畑作地帯。道内で獲れるほとんどす べての野菜が栽培されています。
中でも有名なのが玉葱と人参。玉葱は全道の25%、人参に至っては50%のシェアを占めています。
出来秋の農作物の収穫作業は、富良野の風物詩といって良く、いかにものどかな農村 風景が展開されます。(のどかなんて言うと農家のみなさんに叱られますね。作業す る人たちにとっては戦争なのですから)

10月 夏の観光が一段落し、観光客の入り込みもぐっと減ってくるのがこの時期。 私が個人的にお薦めしたいのは、実はこの時期の富良野観光。意外と注目されていな いのですが、紅葉がめちゃめちゃきれいなのであります。ラベンダー人気にばかりと らわれて、紅葉の美しさに目がいかないのはいかにも残念。
一度富良野の紅葉を見に来てはいかがでしょうか。新たな富良野の魅力を発見できる かもしれませんよ。

            【秋の定番イベント】

             ■9月  ふらのワインぶどう祭り(9月23日)
             <富良野市ぶどうヶ丘公園>
              飲み物ワイン・ぶどう果汁のみ放題、食べ物ふらの和牛、他各種催し物。
             ■10月
             ■11月

12月 さて、冬。富良野の冬はなんと言ってもスキーでありましょう。
ワールドカップ開催実績のあるプリンススキー場は、スキーヤーやボーダーたちの あこがれの的。
雪質がよい上に、ニセコや札幌のように混んでないのが最大の魅力。道内スキー 場 のまさに穴場なのであります。最近はボーダー達のためにゲレンデも整備され、 ファッショナブルなウエアに身を包んだ、いかにも今時のといった感じの若者がおお ぜい訪れています。
北海道に住んでいてよかったと思うのはクリスマスイブ。雪がしんしんと降り積もる 中で過ごすクリスマスイブは、それはそれはロマンチック。雪のないクリスマスの味 気なさは、北国でクリスマスを過ごしたことのない人々にはきっとわからない感覚で ありましょう。

2月 内陸性気候のため、冬は道内でも気温が低い方の土地柄で、2月ともなれば、マイナス25度を超えるなんてこともけっして珍しくはありません。よくそんなところで暮らせるなとお思いの方も多いと思いますが、住んでみるとそれほど寒いという生活実感はありません。部屋はしっかり暖房の効いた部屋を暑すぎるくらいにぬくぬく状態にし ますし、車も乗車する前にアイドリングで車内を暖めるのが常識。 (あの、ルール違反であることはわかっているのですが)私も東京暮らしをしており ましたが、空っ風吹き荒れる東京の冬の方が、生活実感としてはむしろ寒いという印 象をもっています。

必要以上に暖房の効いた部屋で、季節はずれのアイスクリームに舌鼓を打つ。 内地の人にはとうてい理解できない、北国ならではの密かな愉しみなのであります。

            【冬の定番イベント】

             ■12月 スキー場開き(12月上旬 )
             ■1月 
             ■2月 ふれあい広場(富良野スキー場北の峰ターミナル特設会場
                         2 月6(土)・7(日)
(文責 鮒志田良)


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