また、言い訳から始めます

2000/5/8   by 小田島忠弘

5月4日、ゴールデンウィークのど真ん中である。こんな日にこれを書いている(打っている?)のだから、察しはつくとは思いますが、そう、仕事をしています。私の会社(オフィスフラノ)が富良野のオリジナルグッズ(お土産)を売ってる関係から、国民の皆さんが休暇の時は、だいたい忙しいことになっています。忙しくないと色々困ります。今日も、朝から店に来ています。かといって、私は店の仕事は全然出来ない(レジも打てません)ので、店には出ていません。もちろん、ヒヤカシで店に来たわけでもありません。こう見えても、私は結構忙しいのです。仕事をいっぱい抱えているのです。夜中まで(ちょっとオーバー)頑張っているのです。何の仕事かと言いますと、実は、私の会社は裏(奥の事務所)で印刷物やホームページのデザインの仕事もしているのです。たまたま、仕事が重なってしまったのです。それなのに、インターネット富良野の社長が、「富良野からの便り、去年の12月9日に丸山さんが書いて以来更新されていませんよ。確か小田島さんでしたよね。もう、待てませんよ」と、冷たいメール。今回の書き出しもまた、前回の時と同じになってしまった。 あの時(1988.12.15)も言い訳から始まっていた。分かりました、社長、書けばイイんでしょ、書けば。怒っているわけではありません。悪いのは何時だってアタシです。アタシが悪いんです。アタシが。久しぶりに文章を書くと、どうしてもクドくなっていまう。サラッと書きます。サラッと。サラッと書けばイイんでしょ、サラッと。

先月、ニューヨークに住んでいるメディカルイラストレーターのTOMO NARASHIMAさんが日本に来たので、会って話をした。トモさんは、「日本ではメディカルイラストレーターは正当に評価されないし、後輩にアメリカへの道もつけてやりたい」と、十数年前に、筆?一本で単身ニューヨークに渡った。「SCIENTIFIC AMERICAN」や「Newton」の表紙や本文にも取り上げられ、現在までずうっと細胞や動植物、宇宙などを描き、活躍している。ここまで書いて、フッと思い出した。インターネット富良野のトップページに木のイラストがあるでしょう、あれはトモさんが描いたものです。あの木のイラストは、もともとトモさんと一緒に始めた「Tシャツプロジェクト」のための一つだったのです。「Tシャツプロジェクト」とは、トモさんのニューヨークのアート仲間に、Tシャツ用に作品を制作してもらって、富良野で アートTシャツとして展開しようという計画だった。ニューヨークから数点作品が届いて、もう一種類作って、そのままになっている。いざ、Tシャツを作るとなると、なかなか気に入ったデザインにならなかったり、トモさんも忙しくなったりして、思ったようには進まなかった。

トモさんとは、それ以来機会あるごとに、アートについて話をしている。私の場合はどうしても、アートと富良野を結びつけたいと考えてしまうが、今回も色々話をしているうちに、父の工場のことが出てきた。父(75歳)は建具屋を長年やっていて、今でも現役で、私の会社の商品を作っている。トモさんによると、工場があって、住む場所があれば、そこで制作に打ち込みたいアーティストはアメリカにはいっぱいいる。期間は、1ヶ月から2ヶ月位で、出来上がった作品を売ったり、利用したりして、お金を掛からないようにすることだって可能だ。アメリカのアーティストにはトモさんや仲間のルートを使って知らせるから、取り敢えず何人かは集まる。「忠弘さん、やってみない。結構、面白そうでしょう」と、いとも簡単に言う。トモさんはこのノリでニューヨークにも行っちゃったのだと思う。

イメージはすぐに湧いてきた。日本の、北海道の、富良野の、小さなオンボロ工場で外国人が黙々と何かを作っている。外には雪が降りしきり、時折カナヅチの音やら丸鋸の音がピーンと張り詰めた空気を震わす。独り言なのか、横文字の声が聞こえる。厳寒の大地・富良野からアートが生まれようとしている(なんのこっちゃ)。

とにかく、私はこの手の話にすぐ盛り上がってしまう悪い癖があり、今までも盛り上がってはシボミ、盛り上がってはシボミの連続だったが、「富良野からアートを発信する」のは私の夢なのだ。今までも、写真家の那須野ゆたかさん、画家の葉祥明さん、音楽家の浜田均さん、ピアニストのウォン・ウィン・ツァンさんなどと一緒に作品を作ってきた。トモさんの話を聞いて、その想いがさらに強まったのは事実だ。そうなると、次から次にアイディアが浮かんくる。いきなり工場の名前が浮かぶ。「Furano Art House」、どうだろう。テーマは富良野らしく自然とか環境、癒し、心・・・。工場をちょっと直してギャラリーも作ろう。みんなで話せるようなカフェテラスもほしいな。大きなオブジェを展示するのは野外もイイな。作品は富良野の自然をバックに撮影し、カタログも作ろう。そうだ、インターネットで世界に発信だ。そうだ・・・(誰か止めてくれ!)。

またまた、話だけに終わるのか、少しは形になるのか。どちらにしても、このコーナーでお知らせします。期待せずに、お待ちください。インターネット富良野の社長、こんなんでよろしいですか。

●続編です。
ニューヨークから、トモさんの手紙とロゴが着きました。(クリック!)


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