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昨日のコールマン・ホーキンスに続き、今回は1957年に録音されたテナー・サックス奏者、ベン・ウェブスターの名盤『ソウルヴィル』を紹介したい。 私が子供の頃、「テナー・サックスといえばサム・テイラー」という印象が強かった。キャバレーで流れるチークダンス用のムード音楽というイメージで、今にして思えばかなり偏った見方だったと思う。 ジャズを聴き始めた頃に出会ったテナー・サックスはジョン・コルトレーンやソニー・ローリンズで、その演奏が鮮烈すぎたため、テナー・サックスに対するイメージは一変した。ところが、ベン・ウェブスターの演奏、特にバラードにはサム・テイラーに通じる響きがあり、当初は少し敬遠していた。 しかし、ホーキンスを改めて聴いて「やっぱりいいな」と思うようになると、自然と、ホーキンスと並び称されるもう一人の巨人ウェブスターもきちんと聴きたくなったのだろう。コルトレーンのような過激なジャズはもちろん大好きだが、ときどきホーキンスやウェブスターの演奏を聴くと、なぜか安心する。私はジャズに関してジャンルにまったくこだわりがなく、良いと思えば何でも楽しむタイプだ。 『ソウルヴィル』に私の好きな「恋人よ我に帰れ」(B面1曲目)が収録されていたことを、今回改めて思い出した。レコードで聴く場合、どうしてもA面ばかりかけてB面はおろそかになりがちだからだろう。 ちなみに調べてみたところ、サム・テイラー(Sam Taylor, 1916年7月12日 – 1990年10月5日)は、1960年代から1980年代にかけて当時のヒット曲を積極的に取り上げ、日本でも人気を博したアメリカのテナー・サックス奏者である。 |
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