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村上春樹の「セロニアス・モンクのいた風景」をやっと読み終えたのだが、最後の章で村上春樹が紹介している「バグスグルーヴ」を改めてじっくり聞いてみた。 バグスグルーヴは、1954年のクリスマス・イブにマイルス・デイヴィスをリーダーとして、ピアノにモンク、ヴィブラフォンがミルト・ジャクソン、ベースがパーシー・ヒース、ドラムがケニー・クラークのメンバーで録音された、世に言う歴史的名盤=B 村上春樹は、その中のタイトル曲「バグスグルーヴ」のテイク1のモンクのソロを「ほとんど完璧に近い音楽」と言っている。 まあ、私としては、このアルバムに思い入れはなかった。おそらく、「名盤だから、一応聞かなければ」ぐらいの感覚だったと思う。 改めて聞いて、まず最初に思ったことは、マイルス・デイヴィスって、1954年の段階で完全にもうマイルスだし、ソロをこのままどんなに新しい音楽にくっ付けても、成り立つし、カッコいい、だった。 改めて、マイルスの凄さを再認識した。ホント、マイルスは素晴らしい! さて、モンク。 今までは、モンクのみんなと違う弾き方がジャズっぽくてカッコいいし、ジャズはなんと言ってもオリジナリティがすべてだと思っていたので、私の中では、モンクはジャズ的という意味では最高峰だった。モンクこそジャズだと思っていた。 それが、ここのところの本やモンクのアルバムを何枚か聞いて実感したのは、モンクはワザワザみんなと違った弾き方をしていたのではなく、モンクの考えている音楽を追求しているうちに自然とモンクのスタイルになったのではないかと。 ただ、モンクはすべての場面で、そのスタイルを貫いたので、逆に「それしか出来ない」という固定観念が生まれてしまったのかもしれない。 モンクにしてみれば、それがベストなので、そのように演奏しただけなのだ。 バグスグルーヴのソロを何回も聞いたが、いよいよその感を深めた。正に、はまって≠「るのだ。それも、ギリギリ削ぎ取った、ギリギリの音で! モンクに関しては、何枚か気に入ったアルバムもあるし、CD、レコード合わせると20枚ぐらいは持っているが、例えばジョン・コルトレーンのようには踏み込んではいなかった。 「セロニアス・モンクのいた風景」のお蔭で、モンクだいぶ近づけたような気がする。 村上春樹さんに、感謝だ! |
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